016 : シャム双生児



腰のところからくっついて。
そのままずっと離れない。

「ニノ……」

強く抱きすくめられて、背筋を反らす。
キスを交わして、名前を呼んで、確かめ合う。
たった今、せめてこの瞬間だけでも、望んでいるものはお互いだけなんだって信じてみる。
あれだけ空虚だった胸の中が、今はいっぱいに満たされていて。
離れてしまえばまたゆっくりと隙間が開いていくことは解っているから、尚更今ひとつになっていたい。
きっと俺達は離れてはいけないんだと思うよ。
ずっとくっついたままなのが本当は俺達の正しい姿だったらって、そう思う。

「……あのさ」
背中に触れる体温。
もうくっついている訳じゃないけど、それでもこうやって近くに居てくれることがけっこう嬉しい。
何だか、まだくっついているような気がするから。
「何ですか?松本さん」
「昨日、テレビで見たんだけど」

シャム双生児。
生まれる前からくっついて、死ぬときまで二人はひとつ。

「ふうん」
素っ気無いようなその声がちょっと優しくて。
羨ましいね、という言葉が云わなくても伝わっていることを願いながら、頷き返して目を閉じた。