依存症 2



何がきっかけなのかはよく解らない。
……と云ったら信じて貰えるだろうか。少なくとも君はそう信じてくれていると、そう思いたい。
実はこうなった原因もきっかけも、よく解ってるしはっきり覚えてるんだ。

あ、という声と共に、松潤が耐え切れないとでも云うかのように眉を顰めた。
「ちょ……やめ、相葉ちゃん、」
「やだ」
首筋に這わせた唇を鎖骨のくぼみの方へと丁寧に移動させる。
十分慣らしたそこに自分のものを押し当ててゆっくりと押し込めると、松潤が熱に掠れた声を上げた。
「あ、あ、……ゃだ、っあ」
繋がって、ふうっと一つ息を吐く。
「動いていい?」
いいよって云って欲しくてつい訊くと、いつものように「駄目」と速攻で返された。
「わざわざ確認すんなっ」
「じゃあいつになったらいいの?」
「あと300年は駄目」
「じゃこれから300年ずっとこのままでいいの?」
「……駄目」
要するにもういいよってこと。
だから俺はありがたく松潤をいただきました。

もうどれくらいになるかなー。このカンケイ。
松潤がニノと付き合うようになってから、一年?もっとかな?
とにかく、二人がそういう関係になってから結構経った頃、松潤が俺の冗談半分の誘いに乗ってきたのが俺達のこの関係のきっかけ。
そりゃ気持ちいいってのもあるんだけど。でもこれって浮気だよなー、とか、松潤はニノとも寝てるんだよね、とか思いつつもずっと続けてるのは、俺が松潤を好きだからです。ほんと単純でしょ?
……あれ、意外なの?
やーでも好きじゃなかったら冗談でも誘わないって。え、誘わないよ。だって俺そんな軽くないもん。
松潤がニノを好きなんだろうなーってのは薄々感じてたし。二人が付き合いだしてから、何となく今夜は二人で過ごすんだろうなとか察しちゃうこともあったし。そういう時、実はすっごい辛かった。
どっかのホテルか何かで、ニノの腕の中でニノの名前を呼んでるだろう松潤を想像するともう切なくてさ。
でもその想像でちょっとドキドキしちゃってる俺が居たりなんかして。それもあるイミ切なかったけど。
今だって松潤がニノと過ごしてる時の辛さはあんまり変わんないよ。やっぱり。
変わんないんだけど……、でも前とはちょっと条件が違う。
だってもしかしたら松潤がニノに抱かれながらでも俺を思い出すかも知れないじゃない?つい比べちゃったりとか。
そりゃ比べられたらどっちが、なんてのはわかんないよ。でもせめてその可能性はあるんだから。
つまり、ニノだけを見てる訳じゃないってことだよね。ちょっとは俺のこと考えてくれてるのかも知んないし。
それってかなり大きな進歩じゃない?

そう思ったら、不意に松潤に会いたくなった。
君にキスがしたい。気持ちを込めた、優しいキスが。
俺は誰にともなくにっこり笑って、立ち上がった。
君に、キスをしに行こう。
例え俺のこの軽はずみな行動が後でどんな波乱を呼び起こすことになろうと、俺は今君にキスがしたい。
抱き締めて、ちょっと抵抗するだろう君をいつもの調子で宥めすかして、その唇に俺の唇を重ねたい。
考え無しだと君は思うかも知れないけど、実は結構ためらったり悩んでたりしてるんだよね。
さすがに道のりは遠い上に壁だって高いからさ。時々一人じゃちょっと乗り越えられそうになかったりとかするし。
でも、やっぱり俺は君が好きだから。

本当は知ってるんだ。俺が君の逃げ場でしかないことくらい。
散々回り道をした君が帰りつく先は、今も変わらずニノなんだろうけど。
だけど、これも結構悪くない。
だって君は俺に依存してくれてる。

だから、君にキスをしに行くよ。今からね。