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「ん……っ、ん、あッ、は……」
いつものようにニノに深く抱き締められて、背中を反らして喘ぐ。
久し振りに身体を重ねた夜。
ゆっくりと押し込まれるそれにずるずると中を擦られて、その感覚に背筋が震えた。
「あ……はぁ……」
動き出す前の一瞬、一旦止まった動きに思わず溜め息を吐く。
慣らすように緩慢に突き上げてくる動作がもどかしいけれど、かと云ってはっきりと云うのはどうしたって恥ずかしい。
俺は微かな意思表示を込めてニノの首に腕を回し、目を閉じて軽く引き寄せた。
ゆっくりと、突き上げる動きが加速する。
汗ばんだ額に髪が絡むのが邪魔だ。
荒い呼吸を繰り返しながら、ニノに一層強くしがみつく。わだかまり続ける熱を何とかして欲しかった。
キスがしたくなって、目を開けてニノを見ると、ニノの顔にからかうような笑顔が浮かんだ。
「今日は随分積極的じゃないですか……」
熱い息と共に囁かれて、顔が熱くなるのが解った。
「……ッうるせえよ……」
余裕綽々なその態度が気に入らない。
状況が状況なだけに効果なんて全然無いのは解っているけど、それでも俺はニノを睨みつけた。
唇の端を上げたニノが俺の下肢に触れてきた。
「は、んん!……あ、止め……」
緩く立ち上がったそれが何とも云えない羞恥を呼んで、唇を噛む。
視線を逸らし、声を殺そうとすると気に入らないのか繋がった部分を更に強く揺すぶられた。
「……ッう、あ!ん、んんっ」
眉を顰め、震える唇をニノの唇に寄せた。
そっと触れて、一度離してから改めて唇を重ねた。
舌を絡め合って、角度を変えながらくちづけを深くしてゆく。
「ふ……っ、ぅん、ん……はぁ……」
キスの合間に熱くなってゆく息をこぼしながら、何度でもくちづけ合う。
俺の腰を支えていたニノの腕がゆっくりと身体を辿り、俺の頬に触れた。
暖かい掌に包み込まれ、再び目を閉じる。
この瞬間が、好きだ。
目を閉じたままニノとのキスに没頭しながら、俺はニノを抱き締める腕に少しだけ力を込めた。
どれだけ言葉を交わしても、何度身体を繋げても、何も伝わらない。
薄っぺらい一時の感情や動物的な欲望で何かが伝わるとも思っていないけれど。
だけど、キスだけはひどく欲望から遠いような気がした。
本能にとても近いのに、それでいて本能とは根本的などこかが違った行為。
伝わるとか伝わらないとか、そんな機能なんかどうでもいい。
ただ、こうやって唇を重ねることで呼吸や体温を共有できたら。
「ん……っニノ……」
一瞬離れた唇で吐息と共にニノの名前を呼んで、潤む目でニノを見詰める。
俺を見詰め返したニノの表情が何故だかとても柔らかく見えた。
「んんっ、ん、んぅ……っ」
かき乱すような動きに、喘ぎが咽喉の奥でくぐもる。
眩暈がする。ああ、何度キスしても足りない。いつまでも、いつまででもこうやってくちづけ合っていたい。
「はあっ、ああっ、ニノ……、あ、ン……ッうあ、ニノ……っ」
熱に浮かされて強くしがみつき、繰り返しニノの名前を呼んだ。
「松本……」
宥めるように呼ばれる名前が心地いい。
また唇が重なり、下肢のそれに促すように触れられると、もう堪らなかった。
「は、んんッ、あ……ああっ、く!」
ニノに促されるまま、身体を強張らせて熱を吐き出す。
「く……っ」
一拍遅れで身体の奥を熱いもので満たされる感覚に、俺はもう一度下肢を引き攣らせて熱い息を吐いた。
力を抜いて、ベッドに身体を沈める。
同じく脱力して俺にもたれてくるニノが、今日は何だか普段ほど邪魔に感じられない。
ニノも今日はいつもよりずっと穏やかな気分でいるらしく、掌で俺の額に浮かぶ汗をそっと拭ってきた。
額に触れる手が気持ちよくて、凄く気分がいい。
本当は汗ばんだ体も額に張り付く髪も気になって仕方が無い。
出来れば今すぐシャワーを浴びに行きたいところなんだけど、でも今は気分がいいから、この雰囲気を壊したくなかった。
されてばっかりでいるうちに俺も何かしたくなってくる。
俺はちょっと体をずらし、ニノの唇に唇でそっと触れてみた。
さすがに恥ずかしかったので、すぐに離れて枕に顔を埋める。
顔、ちょっと赤いかも。
「……松本?」
ちょっと不思議そうなニノの声に、俺は照れ臭さにまた少し赤くなって、それでもいい気分のまま目を閉じた。

the end.